施工図って例えばどんな図面?施工図の種類を解説

弊社では、大手ゼネコン各社様からのご依頼を受け、建築施工図作成を中心とした業務に携わっています。

 

今回は、先日の記事でお話しした【施工図】について

どんな種類の施工図があるのか、できるだけわかりやすくご説明します。

 

施工図を躯体図・仕上図の2つに分け、先日の記事の説明に沿いながらそれぞれ説明します。

 

1.躯体図とは

躯体図とは、簡単に言うと躯体(主要構造体)の情報が書いてある図面のことです。

特に重要な施工図であり、構造体の記号を明記し、それぞれの位置情報と付帯情報を明記した図面です。

 

鉄筋コンクリート造で使用するコンクリート躯体図と、

鉄骨造で使用する床伏図が代表的ですが、建物のフレームの施工の要となる図面です。

 

先ずは鉄筋コンクリート造で使用するコンクリート躯体図について詳細を説明します。

 

コンクリート躯体図

構造設計図に明記された柱・大梁・小梁・床・壁を配置し、

主要構造体を欠損する事無く開口、フカシ等も表現します。

構造体の平面的な寸法は、誰が見ても分かる様に全て表現します。

 

又高さ方向については、断面図無しでも図面を読める様に、

高さ情報を記号に入れますが、複雑な部分は断面図と展開図を書いて表現します。

 

前に総合図の説明をしましたが、総合図の仕上げの情報を外して、

躯体の見え掛かり線と記号を加筆すれば、大まかな躯体図になる筈です。

 

実際は更に付帯情報を加筆して、監理者の承諾を得て発行となります。

 

コンクリート躯体図の場合、当階の床から上階の床までが表現の範囲となりますが、

床から天井を見た見上げ図で表現します。

 

躯体図を元に型枠を拾い、鉄筋も加工し、

弁当箱に加工された型枠にコンクリートを流し込んで、躯体を作っていきます。

 

最近の高層集合住宅は、工場でPCを製作し、現場で組立てる工法を採用しており、

その場合躯体図を元にPC製作図が作成されます。

 

又躯体図は設備のスリーブの明記、

天井のインサート割り付けのベース図ともなります。

 

床伏図

次に鉄骨造で使用する床伏図について説明いたします。

 

先ほど説明した躯体図は見上げ図であることに対して、

床伏図は床から1Mの高さを目安に下を見下げた、見下げ図が基本です。

 

鉄骨の上に型枠代わりのデッキを敷く工法が殆どですが、

ALC・合成スラブ・フェローデッキ等、種類が多く意外と複雑です。

 

又外装のファスナー・外周の床止まり・縦シャフトの床開口等、

盛り込む情報は膨大です。

 

最近の高層ビルは、この床伏図にて地上の躯体が施工されますが、

デッキ図、コン止め図のベースとなるのは当然のことながら、

コンクリート躯体図同様、設備スリーブ、

天井インサート割り付けのベース図にもなります。

 

コンクリート躯体図の完成サイクルは概ね3週間程度ですが、

床伏図は3週間で3フロアー程度の完成が求められます。

 

街で地上の鉄骨建て方が始まると、一挙に外装まで完成する姿を

目の当たりしていると思いますが、鉄骨工事はスピードが命です。 

 

鉄骨造で使用する床伏図を説明しましたが、

コンクリート躯体図でも床天端が複雑な場合、床伏図を作成します。

エントランス階、屋上階は先ず床伏せ図が必要との認識が正解です。

 

 

2.仕上図とは

次に仕上図について説明いたします。

仕上図とは、文字通り、仕上の情報が盛り込まれた図面です。

 

総合図を仕上情報に絞って明記し、室内の仕上表を添付すれば良い筈です。

 

建物の仕上げは、コンクリートやブロックがむき出しの場合もありますが、

何かしらの仕上げがある事が普通ですので、部屋が有れば仕上げ図は必要です。

 

具体的には、天井や壁となる部分はクロスを貼ったり、ペンキを塗ったりします。

床はフローリングやカーペットを敷き込み、

外壁はタイル、石、サッシやカーテンウォール等で仕上げていきます。

主に建物利用者に直接触れる部分の施工です。

 

目に触れる部分の仕上材の下地も表現しますので、とても細かい図面となります。

そして、各部屋の仕上材をわかりやすくするために

床・巾木・壁・天井等の仕上を記載した仕上表が作成されます。

仕上図の中にも、使用目的によって様々な種類の図面があります。

 

平面詳細図や天井伏図、展開図等

平面詳細図は、先程の床伏図と同じく上から見下ろす形で、

平面図よりもさらに詳しく壁や床の情報を盛り込みます。

先日の記事の便所詳細図もこの一種です。

 

天井伏図は天井の情報(天井高さと仕上材や割付等)を伝えるために作成されます。

 

また展開図は部屋の中央から東西南北の四方をみた立面図で、

壁のタイルの割付や部屋に設置する器具等の立面的な位置の情報を盛り込みます。

 

これらの図面を基に、仕上げ工事を進めていきますが、

様々な業者が見る図面となる事、

最終的に利用者の目に入る部分に絡む図面である事を考えると、

こちらも一つ一つミスなく書き上げることが必要になります。

 

また、仕上図の一つとして非常に重要な役割を担っている図面が矩計図です。

 

矩計図とは

矩計図とは建物を垂直に切断して、外装の仕上げと、

室内の納まりを調整する為に書かれる断面図です。

 

この図面において大事になってくる事の一つに、

止水と区画がなされているかどうかの検討があります。

外に触れている部分はもちろん雨風にさらされ、

その雨が建物内に入らない様施工する事は当然ですが、

不備であれば雨漏りを引き起こしてしまいます。

 

そういった事態に直結するような詳細は、

建物の施工において非常にデリケートで最も重要な部分となります。

 

建物緑化が義務化されている昨今、

建物を施工する際に必要になってくる図面の一つに外構図というものがあります。

敷地内の建物以外のものについての図面で、

具体的には植栽や駐車場のスロープ等の図面です。

 

外構図と呼ばれる図面

外構図には植栽の為の植え込み、

雨水の排水勾配計画についての詳細図も含まれます。

その詳細図の中では、壁面緑化にする場合を例に挙げると、

例えばどのような金具やワイヤーを用いて

植物を壁面に納めていくのかといったことや、

それぞれの金具と躯体との納まりの検討等、様々な情報を伝える必要があります。

 

そして仕上図と同じく多くの業者が見ることになる図面なので、

各図面の不整合やミスは許されません。

 

3.おわりに

ここまで、施工図を3つのジャンルに分けて説明してきました。

前回・今回の記事を通してお伝えしてきましたが、

施工図は実際に現場で施工をする業者が見る重要な図面です。



もしも施工図にミスがあり、誰も気づかず業者による施工がなされてしまったら、

大きなアクシデントやお金が絡んでくるような重大な事態を引き起こしかねません。

建物が建てられていく最後の段階に関わる重要な図面だからこそ、

一つ一つ正確に書き上げること、必ずチェックをすること等が求められます。



そして業者にとってシンプルで見やすく、

かつ分かりやすく一目で必要な情報がつかめるような漏れのない図面が

クオリティの高い図面として評価されます。

 

そのような図面を書けるようになるまでには努力が必要ですが、

日々工夫しながら少しずつでもそのような図面に近づいていくことで

着実にスキルを積み重ねることができるでしょう。

 

少し責任が重く感じられるかもしれませんが、

その分やり切ることができたときの喜びは大きいです。

そして現場で自分の手で図面を書き、その図面を基に日々建てられていく建物を

間近で見るときの、自分が大きな建物の建設に携わっているという実感は、

さらなるモチベーションに繋がっていきます。

弊社社員においても、そのようなモチベーションを原動力に

日々業務をこなしている社員は少なくありません。



最後までお読みくださいましてありがとうございます。

今回は施工図の種類について解説させていただきました。

少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。


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